【ネタバレなし/3つの視点で解説】夜のピクニック/恩田陸

おすすめ本

ご覧いただきありがとうございます。

ひろです!

今回ご紹介する本はこちら!

恩田陸さんの『夜のピクニック』です。

以前に『蜜蜂と遠雷』を読んだ際に、

なんて美しい文章なんだ。

音楽を言葉で表現する際の

豊富な言葉選びに感動しました。

だからこそ、恩田陸さんの過去作を読んでみようと思っていたのです。

そこで、手に取った本は第2回本屋大賞を受賞したこの名作でした。

読めば読む程、『面白い!』と一言で片付くような本ではないことに気付きました。

そこで、あらすじとともに、

今回も個人的に感じた3つの視点で解説・紹介させていただきます。

あらすじ

高校生活最後を飾る“歩行祭”

全校生徒が80㎞の道のりを

夜を徹して歩き通す、北高の伝統行事。

甲田貴子(こうだ たかこ)は、

密かな誓いを胸に抱き、

誰にも言えない秘密を清算する為に臨みます。

ちなみに、この歩行祭は著者の母校である

茨城県立水戸第一高校がモデルとなっています。

恩田陸さん自身も体験されたそうで、

細かな描写にはリアリティがあります。

一味違った青春物語

思っていた形とは違うのに、

確かにそこに青春が。

読了後に頭の中に残っていたのは、

一味違った青春の形でした。

大恋愛でもない。

何か大きな事件が起きるわけでもない。

それなのに、青春物語を満喫した読了感。

甲田貴子が秘めたものは

恋愛よりもデリケートで、

事件よりも危険性をはらんだものでした。

磁石のN極同士が、決してくっつくことなく反発せざるを得ない。

そんな感覚を感じる方は多いのではないでしょうか。

氷が溶けていくような心情変化

甲田貴子の歩行祭での目標は単にゴールすることだけではありません。

“誓い“というだけあり、他生徒とは違った

ある特別な想いがあったのです。

ネタバレにならない程度に書くと、

ある人物との関係が、かなりナーバスな状態。

この歩行祭での過酷な状況や気の遠くなるようなゴールがその関係と重なり合います。

氷のような冷たい感覚が物語の進行により、

変化が起きていくのです。

切っても切れない二人の共通点。

それが徐々に心を溶かしていく。

この心情の変化は、まさに氷が溶け、

本来眠っていた温かな心が芽吹くようでした。

ノスタルジックな感覚

体育祭、修学旅行、部活での合宿等、

学校生活において非日常的な高揚感を経験した方は多いと思います。

歩行祭はまさに非日常的。

奇抜な設定が読み始めから明かされ、

つい、歓喜したものです。笑

“夜”という舞台も高揚感を盛り上げる要素。

そんな非日常の設定に対して、

物語を通して、ひたすら歩きます。

短調な行動に対して、田園風景や通り過ぎる車の音、風邪等。

背景が徐々に変わる風景描写は、経験したことのある刺激を五感に届けてくれます。

そこかしこに溢れる青春の匂いも相まって

いつしかノスタルジックな雰囲気に浸っていました。

黒とも白とも言えない、淡い色合い。

例えば、文中に出てきた“鈍色の水平線に…”

というように曖昧な色合いが

青春の淡さとも重なるようでした。

まとめ

今回は恩田陸さんの名作を紹介。

一度読んでも、何か物足りない。

本の内容ではなく、自分がもっと感じ取れることがあったのでは?

なんて思うような素敵な本でした。

読みやすさがある分、再読する際には、

周りの景色を楽しむように、もっとじっくりと読んでみたい1冊です。

また、映画にもなっていて、

本で感じたことを映像を通して確認してみるのも良いと思います。

自分はツイッターのフォロワーさんに教えていただき、すぐに見ました!

これからも恩田陸さんの過去作を読み尽くしたいなと思っています。

ご覧頂き、ありがとうございました。

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