【ネタバレなし/3つの視点で解説】光のとこにいてね/一穂ミチ

おすすめ本

ご覧いただきありがとうございます。

ひろです!

今回ご紹介する本はこちら!

一穂ミチさんの『光のとこにいてね』です。

一穂さんは、以前にご紹介した

『スモールワールズ』が良かったんです。

短編集って苦手だな。

って、なんとなく思ってたんですが、

短編集の面白さに気付かせてくれたのは

一穂さんでした。

6編それぞれが、別の話でありながら、

実は一つ街で起きた出来事だったんじゃないの?

なんて深読みしたり、文章自体もスッと入ってきて読みやすいんです。

そして、今回の

  『光のとこにいてね』ですよ

とにかく一穂さんの文章、言葉選びに惚れました…。

内容と文章の美しさがシンクロして、

本当に心が満たされた感覚でした。

そこで、あらすじとともに、

今回も個人的に感じた3つの視点で解説・紹介させていただきます。

あらすじ

古びた団地。

ふと見上げた時に出会った。

運命的な出会い、その出会いこそが唯一とも言えたのです。

二人の世界は何もかもが違った。

他の世界から切り離され、

それぞれの理不尽な世界に閉じ込められた。

そこに光が差す。

彼女が笑うと、私も笑顔になれた。

彼女が泣くと、私も悲しくなった。

それが一瞬でしかないことも、

幼い二人は分かっていたんだと思います。

一瞬の光は心の中の灯(ともしび)となり、

永遠に消えないこと祈った。

そう…そのほんのりした灯りを

頼りに消さなかったんですよね。

切なくも美しい、四半世紀の物語

光と影が交錯する物語

交錯と言いながらも、覆します。
交錯はしているものの、常にすれ違いのもどかしさを感じさせられます。

時計の長針と短針が
追いかけ、追い越すように、出会いは一瞬。

光が差したかと思えば、
すぐに影の存在に気付きます。

そんな二人のもどかしさは、むしろ苛立ちすら覚える。

二人とともに読者である自分も
モヤモヤとしてくるわけです。

これが男女の恋愛物であれば、
お決まりの展開ではあるんですが。

それがどうも違う。

特に序盤はどのように二人のことを
考えるべきか、自分の思考こそが交錯していきました。

文章の美しさは一級品

著者の一穂さんが次のページをめくらせてくる。

そんな感覚にさせられる文章力。

浮かんだ絵文章をセットにして

切り取り、額縁に入れたくなるような美しさを感じました。

小説には天候等、著者によって、

様々に表現が変わることがありますよね。

例えば、

“雲と雲の間に悠然とアーチをかけるプリズム”

作中に表現された虹。

この文章の前に、
既に頭と心に様々な心情や絵が渦巻いています。

それにとどめを刺すように美しい表現、文章がくる。

そんなイメージで次々と読み進めていきました。

途中で、『次の新刊買う!』

って、心に決めたりもしました。笑

まさに、精神を満たしてくれるような文章なのです。

繊細な心情の揺さぶり

読んでいて、荒れた海のように、
気持ちが揺さぶられる時ってありますよね。

ただ、この物語はすごく繊細な揺さぶりだと感じました。

爆発的な何かではなく、

熟成された何か。

そして、劇的な再開とかではなく、

パッと時間が止まったかのような一瞬のことなんです。

ネタバレありなら、ひたすらに語りたいシーンもあります。笑

とにかく、随所に美しさを感じたわけです。

もうタイトルの時点で、自分は惹かれていました。

まとめ

この本は、本当に感想を共有したいし、
一体どういう解釈をしている?

というのもすごく気になります。

『あんまり合わなかった』という方も、

むしろなぜそう思ったのか聞いてみたい一冊だなと思いました。

2023年本屋大賞では大賞の期待もありましたが、3位。

1位の『汝、星のごとく』も読みましたが、

正直、甲乙つけがたい傑作でしたよ。

汝、星のごとくの感想はこちら。

少なくとも、自分自身は改めて一穂さんのファンになりました!

まだ、読んでないという方は、

是非読んでいただき、感想を語り合いましょう!

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

〇過去作品
 『スモールワールズ』

〇本屋大賞
 『汝、星のごとく』

〇本屋大賞2位
 『ラブカは静かに弓を持つ』

※アフィリエイトタグを貼っていますので、ご興味ある方のみご覧ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました