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まさか20年後に、再びこの奇想天外な世界へ帰ってこられるとは思ってもみませんでした。
万城目学さんの伝説のデビュー作『鴨川ホルモー』から20年。ついに、ホルモーシリーズが完結を迎えました。
その完結編となるのが、万城目学さんの『ホルモー燦燦』です。
シリーズは完結しました。それでも、この作品をきっかけに、新たに「ホルモー」の虜になる人も、きっといるはずです。
それほどまでに、この世界には時を経ても色褪せない魅力があります。
まだホルモーシリーズを読んだことがない方にも、ぜひこの世界に触れてほしい。そんな思いを込めて、この記事ではできる限りネタバレを避けながら、『ホルモー燦燦』の魅力を紹介していきます。
この記事が、ホルモーシリーズを手に取るきっかけになれば嬉しく思います。
『ホルモー燦燦』のあらすじ・概要
| 発売日 | 定価 | 出版社 | ページ数 |
| 2026/6/24 | 2145円 | KADOKAWA | 320P |
京都には、知る人ぞ知る、歴史ある競技がある。
その競技の名は『ホルモー』。
20年前、大学生活をその競技に狂わされた(?)者たちがいた。
この世には見える世界と、見えない世界がある。
あれから時を経て、『ホルモー』はその間も変わらず行われてきた。
いくつもの名勝負が刻まれ、河原の覇権争い、頂を目指す新たなる戦い。
そして今、なんの因果か、古い茶釜に導かれたて新たなホルモーの世界が幕開ける。
『ホルモー燦燦』の魅力を解説
ここからは本書の魅力を深掘りして、
紹介いたします。
懐かしさと新たな感動、最後にホロリ
20年前のある日、頭の中に駆け巡った奇想天外な物語。伝説のデビュー作『鴨川ホルモー』から20年を経て出た続刊にして、完結編。
「もう一度、あの世界に帰りたい。」
そして、
「まだ見ぬ新たなホルモーの世界も見たい。」
懐かしさと、20年越しの絶大な期待がかかっているのが、今作でした。
しかし、読み進めていくと、「万城目さんさすがです!ありがとうございます!!!」と、歓喜の連続。
「あの居酒屋はどうなっているのか」
「結局あの二人はどうなったのか」
次々と浮かんでくる、懐かしい記憶。
その答えを一つずつ確かめながら読み進めていく時間は、まるで20年前の記憶を一つずつ掘り起こしていくようでした。
そして、読み終えた時に残ったのは、なぜか広がる温かさ。
20年越しの懐かしさと、新たに生まれる感動。その二つが入り混じった、なんとも言えない気持ちなんです。
あの伝説のデビュー作に魅了された人なら、きっと、この気持ちを分かってくれるはずです。
だからこそ、今作を読む前に、ぜひ『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』を読んでみてください。
20年前の記憶を呼び起こしながら読むことで、この完結編は、もっと特別な一冊になります。
ホルモーの新たなる世界
私は今作を読んでいると、一つの勘違いに気づきました。
前作までで、ホルモーのことを理解していたつもりでした。繰り返し再読した上に、映画も見たのです。それでも、ホルモーの世界の一部分を見ていただけに過ぎませんでした。
そして、これは『鴨川ホルモー』でホルモーに巻き込まれた学生たちにも、同じことが言えるのではないでしょうか。
京都という舞台で大学生活を送りながら、運命に導かれるようにホルモーと出会った彼ら。4つの大学から、なぜか選ばれし者となってしまった学生たちです。
その世界に巻き込まれた学生たちは、いつしかホルモーに青春を捧ぐという、稀有な存在だったのです。読者の視点からしても「さもありなん」という感覚。京都という町なら、そんな裏世界に繋がっていても「ない話ではないな」となぜか理解できてしまい、物語は進んでいく。
そこから、どっぷりとホルモーの世界に浸った彼らですら、今作ではホルモーがこんなにスケールの大きなものだったのかと愕然とするのです。
20年越しに「ホルモー」というものの、真の姿が明かされていく完結編。
「万城目さん最高ですよ。本当にありがとうございます」と、またしても感謝を伝えたくなるのです。
物語も読者も転がすユーモアの使い手
そんな万城目さんは小説界でも屈指のユーモアの使い手だと思っています。
そのユーモアは、ギャグのように読者を笑わせるセンスとは少し違う。「よくそんなことを思いつくな」という驚きに近いかもしれません。奇想天外なスケールの大きな世界を生み出しても、決して物語が破綻することがない。
ギャグ的なユーモアなら、振り切れば振り切るほど面白いと感じます。でも、万城目さんのユーモアは、奇想天外さと緻密さが核になる。
本来なら反発しそうな二つの要素を、物語の中に同時に成立させてしまう。緻密だからこそ、「なぜそんな展開に!?」と思ったり、「実は、こんな世界が現実にあったりして」なんて思わせてくれる。
読者も振り回されながら、実は巧みに目的地に誘導されているような心地よさすらあります。
ホルモーシリーズは、まさにその代表作だと思います。
物語は進んでいくというより、転がっていく。誰もその行先が分からない不規則さがあるのに、気づけばどんどんおもしろい方向へ転がっていく。
今作でも、まさにそういった場面があります。この感覚は万城目学さんの作風を表しているような気がしました。万城目学さんの作品は、物語も読者も転がすように、楽しませてくれるのです。
『ホルモー燦燦』の感想
一生読んでいられると思っていたこの世界にも、終わりが来てしまいました。
世の中には、「よくそんなことを思いつくなぁ」と驚かされるような世界や物語があるものです。万城目さんは、ホルモーシリーズを通して、そんな人を魅了する世界を生み出してくれました。
私にとって『鴨川ホルモー』は、一人の作家さんとの衝撃的な出会いであるだけでなく、想像を超える世界に触れた衝撃的な体験でもありました。
「小説っておもろいねんなぁ」
そんな気持ちが、体の底から湧き上がってきた瞬間でもあったのです。
だからこそ、もっと想像したくなります。
ホルモーという競技のルールブックがあったら。ホルモーの歴史を綴った年表があったら。それだけでも、最高に楽しめそうだと思ってしまうのです。
物語は完結しました。それでも、まだまだ潜在的なおもしろさを妄想してしまうんですよね。
世の中にはたくさんの本があります。でも、読み終えたあとも、頭の中で妄想という続編が浮かんでは消える。そんな作品に出会えることは、なかなかないことだと実感しています。
そんなホルモーシリーズに、改めて感謝を伝えたいと思うのです。
万城目学さんの『ホルモー燦燦』はこちらからどうぞ。

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