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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は伊与原新さんの
「コズミック・ガール 宙わたる教室」です。
本作は、ドラマ化や課題図書にも選ばれ話題となった『宙わたる教室』の続編にあたる作品です。
科学をテーマにしながら、とにかく熱い気持ちにさせてくれる。
「新しいことへの挑戦」や「目標を持つこと」が、こんなにも人の心を動かし、世界の見方を変えてくれるのだと感じました。
個人的には、伊与原新さんの作品を読むなら、『宙わたる教室』シリーズは外せないと思っています。
この記事では、できる限りネタバレを避けつつ、その魅力を解説していきます。
皆様の読むきっかけになれば嬉しく思います。
『コズミック・ガール 宙わたる教室』のあらすじ・概要
| 発売日 | 定価 | 出版社 | ページ数 |
| 2026/4/2 | 1980円 | 文藝春秋 | 360P |
学会の高校生部門で優秀賞、JAXAとの共同研究の快挙により、定時制の科学部は伝説になった。
その6年後の東新宿高校定時制には、かつての科学部と顧問の藤竹の姿はなかった。
しかし、そのころの活躍を知る飯星佐那(いいぼしさな)が転入したことで、科学部の2章が動き出す。
伝説の科学部を復活させるため、彼女は部員を集う。
その熱意は、以前の部員である岳人や佳純の耳にも入り、新たな挑戦へと走り出す。
伝説を背負った科学部は、再び伝説を作ることになるのか…。
『コズミック・ガール 宙わたる教室』の魅力を解説
ここからは本書の魅力を深掘りして、
紹介いたします。
『宙わたる教室』に宿る熱と科学のロマン
「挑戦すること」や「目標を持つこと」で、世界の景色は変わる。
『宙わたる教室』シリーズに一貫して感じるテーマです。
一度動き出せば、目の前の景色は少しずつ変わっていきます。それは、自分の中にある歯車がカチッとはまり、心の奥底で眠っていたものが目覚めるような感覚です。
特に科学の世界では、挫折や失敗を何度重ねたとしても、歩みを止める理由にはなりません。失敗は終わりではなく、『新しいデータ』なのです。
迷宮のように果てしない目標だったとしても、失敗が次の扉を開く鍵になることがあります。そして、その目標に向かうのが最初はたった一人だったとしてもいい。
情熱を持って、立ち向かう姿はやがて多くの人を熱狂の渦に巻き込むことになります。それはまるで、甲子園を目指す球児や、世界の舞台を夢見るアスリートのように、『宙わたる教室』の世界にも、人を惹きつけて離さない熱があるのです。
物語の中でも、多くの人がこの熱に触れました。そして、今までの自分の世界から飛び出し、次々と新しい世界へとステージを変えていく姿が描かれています。
もし今、何かに挑戦したい気持ちがあるのに、一歩が踏み出せずにいるなら…。この物語はきっと、力強く背中を押してくれるはずです。
一歩動けば、それが失敗だとしても、あなたの世界は着実に変わる。そんな勇気をくれる読書時間を、ぜひ味わってみてください。
『コズミック・ガール 』は前作とセット読みがおすすめ
本作を単体で読んでも楽しめます。ただ、続編としてのおもしろ要素が多いため、私は前作とセットで読むことをおすすめします。
仮に今作から読み始めたとしても、後から前作へ遡れば、読後の余韻がさらに深くなり、物語の熱を長く楽しめるはずです。
前作『宙わたる教室』は、王道ストーリーの熱さと科学のロマンが融合した感動作でした。新しいことに挑戦することや知らないことを知るという喜びに満ち溢れていました。
そして、科学部は伝説となったのです。その『伝説の科学部』を背負ったのが、飯星佐那(いいぼしさな)です。飯星佐那の最初の挑戦は、ただ科学部を復活させることだけではありません。そこにあった”情熱”を再び燃え上がらせようとしたのです。
背負ったものの大きさや背景を知っているからこそ、本作に受け継がれた熱量がより鮮明に伝わってきます。だからこそ、前作も必読だと感じました。
さらに、本作ではあとがき的な要素も多く盛り込まれていたり、前作から進化を遂げたこともたくさんあります。楽しめるポイントを網羅するには、とにかくセットで読むことが重要です。
ただし、本作で描かれる挑戦は、前作の挑戦と比べて甲乙をつけられるものではありません。今作の挑戦はそれだけで、私たちの胸を熱くする力を持っています。
つまり、「続編としての楽しみ」と「単体で読んだ時の楽しみ」を両立した作品でもあるのです。両方の魅力を思う存分感じたい方は、前作の記事も参考にしてみてください。

定時制高校は人生のやり直しの場|『宙わたる教室』が描く希望
舞台である定時制高校は、やり直しの場であると思います。
今歩んでいる道に意味を見出せなかったり、自分に合った場所が見つからなかったり。あるいは、今の生活の中で「もう一度学び直したい」と思った時に、選択肢の一つとして存在する場所です。
自分の心をリセットして、目の前にある景色を変えることで、歩む方向も歩幅も自然と変わっていくものだと思います。ただ、そうは言うものの、簡単に人は変わるものでもありません。
だからこそ、東新宿高校定時制に伝説を作った科学部の存在が、どれほど大きな希望だったのかが分かるのです。
人が変わるには、根の部分が動き出す必要があります。やる気や根気、性格といったものではなく、もっと奥底にある欲求なのだと思います。
それは、誰かに認められたいとか、誰かと繋がりたい、知らないことを知りたいといった根本的に求めていることなのです。
そういった根本的な欲求に気づいた時、人は目の前の道に進むべき意味を見つける。そして、志を共有できる人と繋がっていくんだと思います。
本作の物語には一つの強みがあります。それは、学ぶことや知ることの喜びを知っている人物が多いということです。だからこそ、定時制高校とその科学部には、心の奥底に眠っている「自分の声」を目覚めさせる絶大な力があるのです。
その力を信じていたのも、飯星佐那だったのだと思います。彼女は過去の科学部の活躍を知ることで、「自分の中にもまだ眠っているものがある」と感じたのではないでしょうか。
つまり、科学部はやり直しの場であると同時に、さらなる高みへと飛び出していくための未来への懸け橋でもあるのです。
しかし、そんな科学部の復活に向けた動きの裏では、また別の大きな動きがありました。それが、科学部の存在意義をさらに大きくしていくのです。
ぜひ、科学部が再び動き出す瞬間と、その裏で進んでいく「もう一つの物語」まで見届けてください。
『コズミック・ガール 宙わたる教室』の感想
一度、自分の中にある歯車を動かすことができれば、人生は上手くいく。そういった自信を手に入れることができる。
本書を読んで、最初に感じたことです。
当たり前かもしれませんが、「自分の人生は自分が動かすもの」だということです。そして、本当にそれが可能になるのは、自分の中の歯車が回り出した時です。
人はいつの時か気づくはずなんです。誰かが敷いたレールで、果たして本当に満足いくような人生が送れるのか、と。
遅かれ早かれ、人は自分に合ったオリジナルのルートを模索するもんだと思うんです。
「この道を行けば幸せになれるよ」という道よりも「この道の先に何が待ってるんだろう」という道の先を、自分の目で確かめたくなる。
実際に私の知り合いにも常に模試でも上位一桁に入り、間違いなく良い大学へ進学できる秀才がいました。ただ、彼はあっさりと就職への道を選びました。そして平日は仕事、休日には大好きな音楽を生きがいにしていました。
周りから見れば「もったいない」と言われるかもしれません。でも、彼は学歴を手に入れるために勉強していたのではなく、歯車の動かし方を磨いていたのかもしれません。
それさえ手に入れることができれば、いつだって人生の進路を変えることはできます。
皆さんも、本書を読んで自分を突き動かす何かを見つけてみてください。そして、見てみたい未来を見に行きましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
伊与原新さんの『コズミック・ガール 宙わたる教室』はこちらからどうぞ。
ゼットで読みたい前作はこちらからどうぞ。

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