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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は青山美智子さんの
「遊園地ぐるぐるめ」です。
この作品はミニチュア写真家の
田中達也さんとの共著となっています。
初期作品でコラボし、ミニチュアの
装丁が印象的だったんですよね。
前回の『人魚が逃げた』で再コラボとなり
今回はいよいよ共著となりました。

デビュー作から一貫して連作短編集の形で
物語を書いている青山美智子さん。
今回はそんな連作短編集が、
“コラボ連作短編集”となっているんです。
1章ごとにお互いの作品・物語を見て
そこから新たな作品と物語を作る。
作家と写真家の共著だからこそ実現した
新しい形での連作短編集。
今作の感想やおすすめポイントを
まとめましたので、ご覧ください!
※できる限り具体的なネタバレを避けています。少しでも知りたくない方はご注意ください。
あらすじと概要
とある遊園地での物語。
なぜか人はその遊園地のことを
通称『ぐるぐるめ』と呼ぶ。
そこに訪れる6人のお客さん。
忙しい日々と尽きない悩みを抱え、
いざワンダーランドへ。
『開園』
まずは田中達也さんのアート作品で
開園した“遊園地ぐるぐるめ”
作品を見て、
書くのは青山美智子さん。
物語は次第に悩みや不安を
新たな心持ちへと変えていきます。
遊園地という“非日常世界”が
物語を楽しさで満たします。
温かさに説得力あり
読み始めて、すぐに青山美智子さんの
優しさ、温かさが溢れます。
初めて読む方であっても、
そっと優しく迎えてくれるんです。
まるで、遊園地のゲートを通る
その瞬間のようです。
ちょっと照れてしまうような
温かな始まりなんですよね。
でも、過去作を読んできた方なら
説得力すら感じるのです。
とにかく目の前のいかなることも、
前向きに捉える。
これがデビュー作から一貫していて、
強い意思として物語に宿ります。

だからこそ、田中達也さんの
ミニチュアとも相性は抜群です。
青山美智子さんの世界の見方を
ミニチュアが見事に表現しています。
ミニチュア作品の魔法
個人的には、どんな物語にも
“余白”が存在していると思っています。
その余白は読者が物語を自分なりに
“想像や理解するスペース”です。
同時に、読者が作家さんの意図や思いを
100%受け取るのは難しいんです。
それは作家さんへのリスペクトであり、
読書の楽しみでもあると思っています。
読者の想像や解釈はその物語を
100%以上にする可能性があります。
それは、自分にとってこの本は
“〇〇と感じる最高の1冊だ”
というように、それぞれの感じ方で
受け取るものは変わるからです。
そして、今回の物語はその余白を
多く生み出すアート作品があります。
ページをめくる手を止め、
その余白に思いがめぐるのです。
物語と作品の相乗効果は、まるで
“ミニチュア作品の魔法”です。
終盤はとにかく心に響く
ちょっと照れてしまうような序盤は、
終盤に一気に深みを増します。
伏線回収というよりも、
『世界はどこかで繋がるもの』
というような感覚だと思っています。
終盤は畳み掛けるように
青山美智子さんの世界観が広がります。
連作短編集らしく一人一人の
視点が変わっていく。
それが最後に線で結ばれる。
そして、過去作との垣根を超えて
世界は繋がっていく。
※これは青山作品のファンとして、
特に歓喜の瞬間!ぜひ過去作も!

最後はやはり、温かさと優しさに
包まれて幕を閉じるのです。
最後に
この作品は隅々まで楽しめる、
非日常の世界観が広がります。
表紙、背表紙、裏表紙と装丁を
ぐるりと一通り眺める。
それだけでも、実はおもしろい
発見があるんです。
絵本のようであり、
アルバムのようでもある。
紙の質感が良く、
少し重みも感じる。
実際に手に取ってみると、
自然とワクワクしてくるのです。
日常を忘れさせてくれるような
読書時間がここにあります。
ぜひ、隅々まで楽しんでください。
最後まで読んでくださり、
ありがとうございました!
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