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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は青崎有吾さんの
「地雷グリコ」です。
1週間で3つの文学賞を受賞し、
第171回直木賞候補作品にも選ばれました。
X等のSNSでも見かけるようになり、
話題の1冊となりました。
昔からの馴染みのゲームが
全5篇の本格頭脳バトルとして誕生。
あなたは
―ジャンケンの勝敗すら分からなくなる―
「本当に?」と思う方は、
是非、画像を見てください。
ジャンケンの手の画像も公開されいます。
※下記のサイト等で見れます。
これだけ見たら「えっ?」と謎だらけに
なりますが、それがこの本の醍醐味です。
少しでも地雷グリコの世界観を
感じてもらえればと思います。
では、あらすじと個人的なポイント、
感想をネタバレを避けてご紹介します!
あらすじ
罠の位置を読み合いながら階段を進む
―地雷グリコ―
百人一首の絵札を用いた神経衰弱
―坊主衰弱―
そんな風変わりなゲームに挑む
射守矢真兎(いもりや・まと)。
彼女は女子高生。
最大の特徴は、
『勝負事にやたらと強い』
射守矢の戦いは、とある場所を巡り
始まります。
本 格 頭 脳 バ ト ル の 開 催
独自ルールによる変貌
“誰もが知るゲームに独自のルール”を加える。
これがとにかく魅力ある設定なんです。
私にもこれに近いようなことを子どもの頃に
していた記憶があります。
『自分たちの遊びをいかにおもしろくするか』
というアイデアに溢れていました。
そんな『子ども心』を刺激するような
ワクワクと懐かしさが蘇ります。
とは言うものの、単純なようで単純ではない。
独自のルールで一気に戦略性が増すのです。
そのゲームを迎え撃つ登場人物は
揃いも揃って秀逸で切れ者。
すべての舞台が整ったオリジナルゲームは
―心理と情報のバトル―へと変貌を遂げます。
青崎さん自身が、『嘘喰い』や『カイジ』等から
影響を受けたと話されています。
他にも『賭ケグルイ』等の作品に心躍った方は
特におすすめだと思います。
ポイントなのは小説・文章として、
頭脳バトルの奥深さと緊張感を出せるか。
読者を迷子にさせずに、
分かりやすく書かれているのか。
これはまったく問題なし。
図解を用いる配慮だけではなく、
『審判役』がとにかく秀逸です。
ゲームの形勢や目の前で起こったことを
瞬時に察し、明解に状況が解説されます。
まさに精鋭揃いの登場人物が
この頭脳バトルを盛り上げてくれるのです。
人生もゲームそのもの
緻密な戦略と命運をかける一手一手。
その勝負の先に手に入れるものは
名誉でもなければ賞金でもありません。
特に一つ目のゲームで手中に収めたものは
非常に高校生らしい。
そう、舞台は『青春』というステージです。
このギャップも地雷グリコの魅力です。
そして、個人的にはこのギャップの中で
『人生もゲームのようなもの』
というように、深読みしながら、
楽しませていただきました。
これは『ギャンブル性があるよね』
という話を言いたいわけではありません。
どれだけ緻密な計画でも、
人生は進むことを阻んできます。
一人で進むわけではなく、
絶えず誰かの何かしらの影響を受けます。
時に、それが地雷となって、
挫折や後退することもあるでしょう。
しかし、人はそれも踏まえた
臨機応変な戦略が必要なんだと思います。
ルールを守ることは必要ですが、
ルールをどう活かすか。
完璧な計画はなく、崩れた時こそ、
勝負時―逆転のチャンス―なのです。
これが青春とゲームを舞台にした物語から
深読みできたのもおもしろかったんですよね。
とにかく魅力の詰まった1冊です。
最後に
青崎有吾さんの本は初めてだったのですが、
他にも読んでみたいと思いました。
また、映像化を望む声も多いと思いますが、
個人的には続編を文章で読みたいですね。
それくらい、青崎さんの
“文章で伝える力”にも脱帽。
読み手のワクワク感以上に
書き手のワクワク感を感じられました。
このワクワクに触れたい方は
是非、手に取っていただければと思います。
最後まで読んでくださり、
ありがとうございました。
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