【感想とおすすめポイント】鎌倉うずまき案内所/青山美智子

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ご覧いただきありがとうございます。

今回ご紹介する一冊は青山美智子さんの
「鎌倉うずまき案内所」です。

2019年7月12日に単行本が刊行され、
2021年4月7日に文庫化されました。

この作品は青山さんらしい連作短編集の
おもしろさを堪能できる1冊です。

『読み終えたあと、
必ず最初に戻りたくなります。』

なんて言われていて、
2度、3度と楽しめる物語となっています。

では、あらすじと個人的なポイント、
感想をご紹介します!

※できる限り具体的なネタバレを避けています。少しでも知りたくない方はご注意ください。

あらすじ

「はぐれましたか」

ここは『鎌倉うずまき案内所』

古ぼけた時計屋の地下へ下りる。

螺旋階段が続き、下りた先に
双子のおじいさん

さらには謎のアンモナイト

この案内所には様々なはぐれた人々が
訪れてくる。

・会社を辞めたい20代男子
・ユーチューバーを目指す息子を
 改心させたい母親
・結婚に悩む女性司書
・クラスで孤立したくない中学生
・いつしか40歳を過ぎてしまった
 売れない劇団の脚本家
・ひっそりと暮らす古書店の店主

平成時代を6年ごとにさかのぼり、
6人の悩める人々が交差する―。

うずまきが巻き起こす
~ささやかな奇跡の物語~

最高におもしろい連作短編集

青山美智子さんの短編集は連作になっています。

つまり、短編でありながらもそれぞれに
繋がりがあるということです。

そして、この『うずまき案内所』は、
その繋がりが最高におもしろい!

ミステリの伏線回収のように、
読めば読むほど繋がっていきます。

『えっ?これって…』
『そ、そういうことか。油断してた』

というように頭の中が軽く混乱

時代がさかのぼるからこそ、
余計にそう思いました。

そして、繋がりだけではなく、
どんどん解明されていく感覚でした。

うずまき案内所の“うずまき”とは、
どんなことが暗示されているのか。

双子のおじいさんは
なぜあの遊びをしていたのか等。

繰り返して見ている情報も
捉え方が変わっていきます。

そんな後出しされる情報により、
物語には奥行が出てくるのです。

物語の温かさに掛け合わせる
連作短編集の仕掛け最高なんです。

是非、この仕掛けを楽しんでほしいというのが
おすすめする理由の1つです。

時代を重ねて交差する物語

そんな物語の進行の中で大切な想いも
込められているのが青山さんの物語。

楽しみながら、その想いに触れてみるのも
おすすめの読み方です。

物語は平成時代をさかのぼっていきます。

今があるのは当然ながら過去のおかげ。
過去と現在は結ばれています。

ただし、それは単純な一直線ではなく、
螺旋のようなものなのです。

1回転することで完結しながらも
また新たな出発点になる。

そして、グルグル回りながらいくつも
交差する点があることに気付くのです。

様々な場面でそういったことを
暗示させるものが出てきます。

今思えば、時代をさかのぼる構成も
当然の順序なのかもしれません。

人は過去と現在を行き来しながら、
未来へと進んでいくものです。

込められた想い・テーマ・メッセージ
自分なりに考えてみてください。

最後に

連作短編集の形式で書かれることも
青山さんの小説の特徴です。

特にこの作品は最後まで読んだ後に
最初に戻りたくなる仕掛けあり。

こういった仕掛けは読み終わった瞬間に、
新たな気付きをもたらしてくれます。

色々と考察したくなるし、
再読の楽しみをプレゼントされます。

是非、連作短編集の楽しさを
一緒に共有できればと思います。

最後まで読んでくださり、
ありがとうございました!

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