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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は山本文緒さんの
「自転しながら公転する」です。
2021年に逝去され、最期の長編小説
となった作品です。
発売から時が経った今でも
まだまだ共感を呼ぶ人気作。
SNS等でも、
『ここのやり取りが勉強になる』
『ムカつくのに共感もできる』
というように様々な声が上がり、
とにかく気になる一冊だったんです。
では、あらすじと個人的なポイント、
感想をご紹介します!
※できる限り具体的なネタバレを避けています。少しでも知りたくない方はご注意ください。
あらすじ
母の看病のために実家に戻ってきた
32歳の都(みやこ)。
アウトレットモールのアパレルで
契約社員として働いていた。
ある日同じアウトレットモールで
寿司職人の貫一と出会うことに。
二人は付き合うことになるが、
時間が経つにつれ将来が見えない。
母の具合は一進一退。
頼りない店長、上司のセクハラと、
職場では次々と問題が起きる。
目の前の問題、将来の不安が
ぐるぐると巡っていく…。
思い悩んだ先の終着地点はー
たどりついた答えとはー
共感するけど、チクっと痛い
10代~20代とはまた違った種類の
様々な問題が巻き起こる30代以降。
同じ年代の読者であれば
特に共感する部分が多いかと思います。
今まさに自分の身に迫っていたり、
近いことが起きていたり…。
そして、自分の内面にも変化は
起きていくものなんですよね。
例えば、素直になれなかったり
今より将来の不安に支配されたり。
それが、自分の進むべき道を分からなく
させるんです。
そういった内面の変化に共感する方も
多いのではないでしょうか。
ただ、読者としては共感もするけど、
客観的にも見れてると思うんです。
『共感はするけど、なんか腹立つ』
『そんな考えでは一生前に進まないよね』
『まぁねぇ…
痛いほどに分かるんだけど…』
というように、ただの共感というよりは
自分にもチクっと痛みが走る…。
ここがポイントなんですよね!
共感はするけど、自分のダメなところも
分かってしまうような“痛み”があります。
だからこそ、この物語の行く末が
とにかく気になり、ページをめくるんです。
自転することで”好転”する
自分の人生には必ず他の人が
関わってくるものですよね。
物語を読んでいてもそれが本当に
良く分かると思います。
もう正直、“自分以外が邪魔だ”
なんて思ってしまうかもしれません。
それなのに問題は、
自分に一番縛られているということ。
詳しくは話せませんが、
“自転”すら上手くいっていない。
それなのに、すべきことや課題は
どんどん降ってくるもんですよね。
まさに主人公の都が陥った状況です。
結局、綺麗に回ろうとすればするほど
ダメなんだ!
自転している地球だって、
実は軸が傾いているんだから。
季節や気候の差ができて、
それが地球の表情なんだから。
ちょっと傾いてても、自分に素直になれば
いつか”好転”するから。
って、もう途中から都に言ってやりたくなりました。笑
読者自身も会話に入って“あーだこーだ”
言っちゃいたくなるんですよね。
男性におすすめの理由
一方、貫一側(男側)からすれば、
非常にめんどくさいのです。
いや、すみません。笑
女性側を否定するわけではなく、
男の思考というのはそういうもの。
だからこそ、この本は男性にも
是非読んでみるべきだと思うんです。
めんどくさいと思っている男性を
めんどくさいと思うのは女性です。
これでは当然ながら悪循環です。
好転させるにはお互いの理解が
必要なわけですからね。
山本文緒さんは男性にも良い本を
遺してくださったのです。
最後に
男である自分が読んで
正直どうなのかな…?
と、思っていたんですが、
これはまったく問題なしでした。
むしろ、共感することもあるし、
チクっと痛みが走ることもありました。笑
人生はちょっと傾いていても
回っていくもんだ。
行けるとこまで進んでみれば良い。
ということで、男女ともに
手に取っていただきたい1冊です!
最後まで読んでくださり、
ありがとうございました!
〇単行本
〇文庫本
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