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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は宮島未奈さんの
「それいけ!平安部」です。
実はこの作品、著者が学生時代に読んだギャグ漫画「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」にヒントを得たそうです。
※『週刊少年ジャンプ』に1995年~1997年まで連載
そんな意外なところから生まれたのは、ちょっと風変わりな部活青春物語です。
この記事では具体的なネタバレを避けつつ、本書の魅力を独自の視点でご紹介します。
最後までお楽しみください。
あらすじ・概要
発売日 | 定価 | 出版社 |
2025/4/16 | 1760円 | 小学館 |
ページ数 | 所要時間の目安 | |
256P | 約4~5時間ほど ※平均的な目安 |
「平安部って、何やるの?」という本書最大の疑問を抱えながら進む物語。
そのスタートは県立菅原高校の入学式当日。
新しい学校生活が始まったその日、平尾安以加は同じクラスの牧原栞に突然声をかけます。
「平安時代に興味ない?」という、唐突な誘い。
しかし、その質問には安以加の熱意が込められていました。
間もなく入部を決めたものの…新部創設には5人の部員が必要だった…。
活動内容が見えない中、それでも部員集めに奔走する2人。仮に集まったとしても、果たして一つの部活として成り立つのかどうか。
ピュア度100%の青春部活物語が、
いま走り出す─。
本書の魅力を解説
ここからは本書の魅力を深掘りして、
紹介いたします。
ニッチな部活で好きが形になる!新時代の青春物語
“弱小校が、全国大会優勝”
そんな王道ストーリーでは、もう満足できない方も多いのではと思います。
本書が描くのは、知られざるニッチな部活動の物語です。
今やSNSでは、趣味や日常を深掘りする“素人専門家”が脚光を浴びています。
一昔前は「オタク」や「マニア」と呼ばれていた人たちが、今ではその分野の専門家となる時代。
本作は、そんな新しい時代の空気をまとった青春部活小説とも言えます。
活動内容自体は自由だからこそ、部活そのものの存在意義を証明しなくてはいけない。
“好き”を突き詰める一方で、「部活としての実績をどう積むか」というリアルな課題にも向き合っていきます。
0から部活動を作っていく過程はとにかくワクワクの連続です。
宮島作品に共通する個性が光る女性
宮島未奈さんと言えば、本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』が記憶に新しい方も多いでしょう。(文庫化もされました!)
成瀬の強烈なキャラクターは、今もなお多くの読者の心に残っているはずです。
前作『婚活マエストロ』では、伝説の婚活パーティー司会者・鏡原奈緒子を描き、またも強い印象を残しました。
宮島さんの作品に共通しているのは、「個性的で力強い女性」が活躍すること。
今作の主人公・平尾安以加(ひらおあいか)も例外ではありません。
彼女の自由でまっすぐな姿は、成瀬の突き抜けた個性とも、鏡原の円熟したカリスマ性とも違う、新たな魅力を放っています。
登場人物たちの行動力と惹きつける力が、物語に躍動感を与え、読みやすさにも繋がっています。
前向きなエネルギーがある
本作は主人公だけでなく、一人一人の部活メンバーも躍動します。
安以加の行動力に触発され、メンバーたちも次第に自分の力を発揮し始めるのです。
人を惹きつける力だけではなく、人の良さを引き出す不思議な力を持っています。
やがて「どんな壁だって乗り越えられる」という前向きなエネルギーが作品全体を包みます。
これこそ、ニッチなジャンルが輝く原動力。
ほんの少しだけ、自分の力を発揮する場所を変えるだけで、才能は大きく花開くことがあるのです。
サッカーや野球ならポジション、吹奏楽なら担当楽器。
そういった「用意された場所」や「求められる能力」に縛られない活躍の場。
読んでいるうちに、彼女たちがその居場所を一歩一歩作り上げていく過程に、心が熱くなりました。
“好き”を信じ抜いた先に見える、新しい青春のかたち。
本作は、そんな輝きに満ちた一冊です。
本書の感想
たまたま「平安部」だっただけ。
部活メンバーからすれば、これが鎌倉部であっても問題はなかったと思います。
読者としても、宮島未奈さんの描く個性に注目し、その躍動の物語に期待するはずです。
重要なのは「何をテーマにした部活か」ではなく、「彼女らがそこでどう動き、どう輝くか」だったのです。
個人的に、『成瀬は天下を取りにいく』では、成瀬というキャラクターをもっと深く追い続けたくなり、「続編」を強く期待しました。
一方で、本書『それいけ!平安部』は、別バージョンの物語をもっと読みたくなる。
いわば「シリーズ化」を期待させる魅力があったんです。
この違いこそが、宮島作品の幅が広がった証。そして、これからの作品がますます楽しみになった瞬間でもありました。
この2作品の魅力の違いも含めて、きっと楽しんでいただけると思います。
気になる方は、以下からぜひチェックしてみてください。
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