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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は瀬尾まいこさんの
「ありか」です。
瀬尾まいこさんが『これまでの私の人生を全部込めたと言い切れる作品』と話す最新刊です。
本書はフィクションでありながら、瀬尾さんと娘さんとの物語を描いた作品だと言われています。
2026年の本屋大賞にもノミネートされ、心温まる作品として注目を浴びている1冊です。
この記事では、できる限りネタバレを避けつつ、その魅力を解説していきます。
皆様の読むきっかけになれば嬉しく思います。
『ありか』のあらすじ・概要
| 発売日 | 定価 | 出版社 | ページ数 |
| 2025/4/18 | 1980円 | 水鈴社 | 368P |
一人娘のひかりを愛してやまない美空は、シングルマザー。
日々の子育てのなかで、美空は自分の母親との関係に疑問を抱くようになります。
親になった途端に、さっぱりと分からなくなる。
親から受けた恩を思い知り、それを感謝で返していく必要があるなんて、本当にそうなのだろうか。
その関係性や子育ての価値観が語れる冒頭が印象的なのです。
美空の世界は、ひかりというかけがえのない存在によって、少しずつ変わっていきます。
そして、離婚後も美空とひかりのことを気にかけ、何かと世話を焼こうとするのが、元夫の弟・颯斗。
実の母との関係、そして颯斗との関係を通して、美空とひかりは、これからどのように人生を歩んでいくのか。
『ありか』の魅力を解説
ここからは本書の魅力を深掘りして、
紹介いたします。
冒頭の”子育て観”に考えさせられる
自分に子どもができて、初めて親の気持ちが分かるという話はよく聞きますよね。
けれど、子どもはそれ以上に不思議な力を持っているように思います。
子育てを通して、親である自分自身が「何者であるか」ということが少しずつ見えてくるのです。
そして、それは子どもにとっても同じこと。
もちろん、これは子育てに限ったことでもありません。
誰かに何かを与えること、そして誰かから与えられること。
その関係のなかで、お互いに「自分」という存在が浮かび上がってくるのです。
誰かと向き合うことは、自分自身の姿を鏡に映すことなのかもしれません。
一人では、自分が「何者であるか」ということすら、見失ってしまうのです。
本書の冒頭には、そんな私たちが忘れがちな大切な視点が書かれていました。
それは、まるで頭を殴られたような衝撃だったんです。
痛みを伴う愛と幸せの物語
そんな冒頭の衝撃を引きずりながら、物語は進んでいきます。
特に、美空の愛娘・ひかりへの深い愛情が、物語全体を優しく、温かな空気で包み込みます。
しかし、この物語は“痛み”も伴っているのです。
目の前の幸せに焦点を合わせようとしても、なぜかピントがずれてしまう。
まるで、心のどこかに棘のような違和感が引っかかっているかのように。
そして、その棘の正体は、美空の「母親」にあることが少しずつ明らかになっていきます。
この痛みにも、きちんと向き合う必要があるのです。
それは今の自分を見ている子どもに対してのけじめのようなものかもしれません。
痛みを知っている人こそ、他人に本当の優しさを向けられる。
そんな静かな確信が、この物語には込められています。
謙虚な優しさに救われる
そしてこの物語の「愛」と「幸せ」を、いっそう色濃くしている要素があります。
それが、登場人物たちが持つ“謙虚な優しさ”です。
『こんな世界だったらどれだけ救われるか…』
そんな心の声が、思わず漏れてしまいそうになるほどです。
登場人物の優しさが美空とひかりだけではなく、読者の心にもそっと灯りをともしてくれます。
なかでも印象的だったのが、元夫の弟・颯斗の存在。彼はまさに、この物語の“縁の下の力持ち”と呼ぶにふさわしい人物です。
“子どもを育てるのは実の親だけではない”
そんな強い想いを颯斗の姿を通して感じたんです。
この感覚は、瀬尾まいこさんの代表作『そして、バトンは渡された』でも強く感じたもので、今作にも深く通じていると思いました。
そして颯斗だけでなく、他の登場人物たちもまた、驚くほど清々しく、謙虚で優しい。
『こんな人たちがもし周りにいてくれたら…』と、つい願ってしまうはずです。
だからこそ、ぜひこの優しさに、この人たちに出会ってほしいと思います。
『ありか』の感想
瀬尾まいこさんの代表作といえば、本屋大賞にも輝いた『そして、バトンは渡された』です。
この作品は、本書と同じように家族をテーマにした作品です。私はこの2作品はどちらも読んでみることをおすすめします。
なぜなら、どちらにも共通している瀬尾まいこさんの家族に対する考え方が見えてくるからです。そして、どちらも本来あるべき姿にこだわらず、自分なりの幸せな道を見出せば良いことを教えてくれます。
そして、主人公の周りにいる人物が、とにかくその道を支えてくれます。瀬尾まいこさんの描く人物は優しさと前向きさを併せ持ち、いつも目の前の道を明るく照らしてくれます。
ぜひこちらの記事も参考にしてください。

本書『ありか』でも、心のありかを見失ってしまっているような美空の手を決して離さない人たちがいます。その存在は、私たち読者にとっても心強いのです。
瀬尾さんの作品でもう一つ代表的な作品に『夜明けのすべて』があります。
この作品でも、『悩んでても、考えててもしょうがない』という、開き直りにも近い前向きさを感じます。一つ一つの作品にネガティブな要素があったとしても、どの作品も読み終えた時には、ポジティブな気持ちで満たされます。
これを機に、本書とともに、今回紹介した他の作品も楽しんでいただければと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
瀬尾まいこさんの『ありか』はこちらからどうぞ。
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