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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は尾崎世界観さんの
「転の声」です。
尾崎世界観さんはロックバンド『クリープハイプ』
のボーカルとして活動されています。
そして、第171回芥川賞の候補作として
話題にもなりました。
『音楽×転売』というテーマ設定は
音楽家ならではの切り口でした。
正直なところ、前半で置き去りにされる
読者が多いのではと思います。
感想やおすすめポイントをまとめますので、
読んでみて興味が出れば、
実際に本を手に取ってみてください。
※できる限り具体的なネタバレを避けています。少しでも知りたくない方はご注意ください。
あらすじ
『俺を転売して下さい』
主人公の以内右手(いない みぎて)は、
ロックバンド「GiCCHO」のボーカリスト。
ようやくテレビの人気生放送音楽番組に
初出演を果たしたばかりだが…
以内は焦っていた…
ある時から思うように声が出ない。
そんな時に
『転売を通してプレミアを感じるべき』
『定価にプレミアが付く。
これは変化ではなく進化、【展売】だ』
カリスマ転売ヤー・エセケンの言葉で
以内は意を決する。
暴走していく欲望。
自分のチケットにプレミアが付く喜びが
密かに着実に湧き上がる。
以内とバンドの行き着く先は…。
ミュージシャンの心裏を赤裸々に描き出す
著者ならではの1冊。
加点方式の読書
前半で置き去りにされるなんて…。
せっかく気になる本だったのに…。
と思う必要はないんです。
感じ方は人それぞれというだけでなく、
捉え方を変えれば良いと思います。
自分は良い本と悪い本という捉え方は
特にしていません。
『どの本にも良いポイントがある』
というのが基本の考えです。
合う・合わないはあったとしても、
それはネガティブなことではない。
そういう考えで読書をしています。
要するに加点方式で、
読んでいるということです。
本に満足させてもらうというより、
自分が満足するように読むということです。
一つの未来を見る
そんな前置きを書いておきながらも
前半は置いていかれそうでした。笑
ところが、途中から予想外の展開で
本当に捉え方次第でした。
どう捉えていくかで、物語の見え方は
どんどん変わっていきます。
個人的には
『一つの未来』を見たようでした。
転売への皮肉にも見えるし、
転売の新しい価値を見せたとも言えます。
音楽の新しい価値なのか、
エンタメの新しい可能性なのか。
どんどん想像は膨らみました。
結末よりも考えがどんどん膨らんでいく
その過程は非常おもしろかったんです。
否定的な見方が多い“転売”を
進化という意味の“展売”へ。
さらに行き着く先のまさかの
〇〇〇ライブ。
さすがにネタバレになので言えませんが、
今の価値観を揺るがす世界が展開します。
追いつかない思考とは裏腹に
将来に起こる可能性も否定できない…
音楽家が見ている視点が
そう思わせるのでしょうか。
ここ数年の世界の変化が
そう思わせるのでしょうか。
『一つの未来の形を見てみたい』
そんな好奇心がある方は、
是非読んでみてください。
最後に
“ついていけない世界だな”
そう思っても良いし、
“どうしてこういう話にしたの?”
と、考えを巡らせても良い。
個人的には普段使っていない脳の一部を
刺激されたような感覚でした。
これも読書の楽しさで、
本の価値の一つだと思っています。
読んでみようと思う方はぜひ!
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