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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は恩田陸さんの
「珈琲怪談」です。
恩田陸さんは“ホラー作家”という一面もあり、多様な作品を生み出しています。
今回は、タイトルに怪談と入りますが、ただの怪談集とはわけが違います。
ゾクっとするだけでなく、ワクワクするような魅力と楽しさが詰まった1冊なんです。
※できる限り具体的なネタバレを避け、本書の魅力を伝えたいと思います。
あらすじ・概要
発売日 | 定価 | 出版社 |
2025/4/16 | 1980円 | 幻冬舎 |
ページ数 | 所要時間の目安 | |
304P | 約5~6時間ほど ※平均的な目安 |
なんか、怖い話ない?
いわゆる、男子会というものなのでしょう。
メンバーは外科医・検事・作曲家・音楽プロデューサーと、多忙な四人の男たち。
忙しい合間を縫って、どうしてもしたいことが“怪談を披露し合うこと”
遠出をした先で、喫茶店縛りでハシゴしていくんです。「さて、始めますか」という感じで、様々な切り口から口火を切って語られる怪談。
街や喫茶店の雰囲気と相まって、仲間と過ごす最高のひと時が綴られた物語。
本書の魅力を解説
ここからは本書の魅力を深掘りして、
紹介いたします。
大人の贅沢な時間
読んでいて、ふと感じたこの高揚感を知っている気がしました。
思い返してみると、それは修学旅行の夜でした。
「そういえば、知ってる…?」という一言から始まった怪談大会。
枕を並べて、電気を消して、友人の声に耳を澄ます…。
この本を読んでいると、あの夜の空気感が蘇るようでした。
特別な高揚感の中では、恐怖が何倍にも膨らむ。そして、その分なぜかワクワクもしてしまう。
これが仕事や家庭の愚痴をこぼすような集いなら、そんなワクワク感はなかったんです。
当時は何気ない時間でしたが、大人になれば欠けがえのない時間。
その時間はノスタルジックで、遊び心をくすぐるような時間なんです。
まさに、“大人の贅沢な時間”がこの作品には詰まっていると感じたんです。
日常を彩る怪談
この作品の本題は「怪談を語る」ということです。
私たちはなぜ”怖い話”に惹かれるのでしょう?
単なる恐怖心だけではない。人間の深層に眠る「知りたい」「感じたい」という本能的な欲求がある気がします。
今ではYouTubeで怪談を語る専門チャンネルも多く、いつでも楽しめますよね。
それくらい、”怖い話”には需要があるということですね。
人間の力が及ばないような非現実的な体験や現象は、日常を彩ってくれます。
「素通りしている日常」を少し角度を変えて見てみる。
するとそこには、思いもよらぬもうひとつの世界が広がっていることに気づくのです。
「今日起きた出来事」を振り返ってみると、実は不可解なことがあるんです。
『あれは本当に偶然だったのか…』
『あの時に聞こえた声は誰の声だったのか…』
そういった小さな違和感が、実は“怪談”の入り口かもしれません。
現実にそっと重なる、もう一つの世界。
怪談が披露されるたびに、私たちの目の前の日常はほんの少し、異世界の色に染まっていくのです。
ページをめくるたびに香る、珈琲と男のロマン
この作品に出てくる怪談はほぼ実話だと恩田陸さん自身が説明されています。
また、出てくる喫茶店も実在する喫茶店のようです。
この作品のもう一つの魅力は「喫茶店巡り」なんですよね。
怪談をめぐる物語とともに、個性的な喫茶店を巡る楽しさが味わえる。
読書好きの中には、「カフェ巡り」も好きという方も多いのではないでしょうか?
“好きなことを好きな場所で語り合うだけ”
この単純な構成が、なんだかんだで一番おもしろいなと思うんです。
ただそれだけなのに、ノスタルジックに浸ったり、ロマンを感じてしまう。
恩田陸さんの作品には不思議な力があるなと、改めて感じました。
本書の感想
冷静に考えると「いい大人が何やってんだか」というような内容なんです。
でも、じっくり味わってみると、「なんて贅沢な時間だろう」と思えてくる。
そんな“大人の遊び”に魅了されてしまう作品。
同じように席に着いて、相槌を打っているような感覚で物語は進んでいくんです。
怪談が怖いというより、むしろ居心地の良さを感じる1冊。
続編が出ても、この“居心地の良さ”と“贅沢な時間”を求めて、また手にしている自分の姿も思い浮かべました。
気になる方は、以下からぜひチェックしてみてください。
この作品の中にある素敵な時間を堪能しましょう!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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