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ご覧いただきありがとうございます。
今回ご紹介する一冊は三浦しをんさんの
「愛なき世界」です。
まず、この“タイトルの奥深さ”に
やられましたね。
“愛”なんて気恥ずかしい言葉だなって
思ったりもしたんですが…。
序盤で『うぉぉ。そういう世界か…』と
気付き、そこからは夢中でしたね。
発売当初から気になっていた1冊。
今になってようやく手に入れましたが、
『ナイス判断!自分!』
そんな声が思わず心に響きました。笑
以前から知っている作家さんですが、
これを機に他の作品も読むことを決意。
そんなきっかけになったこちらの1冊。
あらすじと個人的なポイント、
感想をご紹介します!
※できる限り具体的なネタバレを避けています。少しでも知りたくない方はご注意ください。
あらすじ
藤丸青年が恋をした相手は、
“植物の研究”に一途な本村さん。
彼女は大学院生であった。
大学には、個性の強い面々と
たくさんの植物がひしめき合っていた。
“殺し屋のごとき風貌の教授”
“イモを愛する老教授”
“「緑の手」をもつ同級生”
しかし、
『恋のライバルが
人間だとは限らない』
本村さんに恋をして、
どんどん植物の世界に分け入る藤丸。
その恋の行方は…
植物の奥深い世界とは…
風変りな理系の人々とお料理男子が紡ぐ、
美味しくて温かな青春小説。
力強く奥深い世界
“愛なき世界”とはそういうことか…
と、理解し始める序盤。
物語はまだまだ序の口なんですが、
『植物ってこんな世界なの!?』
と、そのすごさと奥深さを
突き付けられたような衝撃でした。
植物の力強さを感じれば感じるほど
人間が弱く、複雑だなと感じたり…。
逆に、『人間ってすごいな』
なんて思ったりするわけです。
人間って?植物って?生き物って?
底なしの深い世界をもっと知りたいという
好奇心が湧き出してくるんです。
さらにこの物語に魅了されたのが、
次の“研究の世界”です。
とにかくすごい研究の世界
登場人物はとにかく、変人!
研究の世界だとこの言葉は
もう誉め言葉だと思うんですよね。
とにかく一つのことを突き詰める
“研究者の姿勢”がすごいです。
小説という物語の世界でも
そのストイックさを感じるんです。
『学校の授業で学ぶことって、
将来どう役立つの?』
なんてことをほとんどの人が
一度は思ったはずですよね。
これの“究極系”が研究なんです!
『そんな研究に意味なんてある!?』
という感覚です。
それなのに読み進めていくと、
どんどん考えが変わっていきました。
何かを研究するということは
人間の豊かさにも繋がるんだと思います。
そして、人間そのものや世界の
理解に繋がるんだと思うんです。
何より、世界の謎に立ち向かう
研究する者の姿勢はかっこいい!
それなのに…
この物語には純粋で儚い恋が…。
もどかし過ぎる恋愛小説
忘れてはいけないのは、
この本は恋愛小説だということです。
これが植物を研究する奥深い世界に
彩りを加えてくれます。
大学院生の本村さんに恋する藤丸。
この藤丸が…もうね…、
めちゃくちゃ良いヤツなんですよ。
そして、研究に一途な本村さんの
真っすぐなところも良いんです。
それなのに、恋の展開は
見事にもどかしい。
読者である自分としては
ずっと歯痒い思いだったんです。
そんな恋の行方も気になりつつ、
物語は進んでいきます。
最後に
三浦しをんさんの作品はあの有名な
『舟を編む』を読んだだけでした。
今作もいわゆる“ニッチなジャンル”を
取り上げる小説。
それでいて、柔軟な表現も多く、
すごく読みやすいなと感じました。
未知の世界であってものめり込める
“没入体験”ができる1冊だと思います。
ぜひ、一度手に取ってみてください。
最後まで読んでくださり、
ありがとうございました。
〇単行本
〇文庫版 上下
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